伝統の国イギリスへ【イギリスへの道パート7】

さァ、美しいビートルズの曲をバックに、美しい湖水地方に向かって車を走らせます。
詩人ワーズワースは湖水地方の鉄道開発に反対したそうです。
それがこの地方を美しく保っていられる要因のひとつともいわれているわけですが、我々現代人が車で足を踏み入れることには、どんな反応をするんでしょうか?

推測するに『排気ガス規制をクリアできる車なら良いのですが、ベストは或るところまで乗り入れたらそこからは歩きまたは馬車による移動にすべきです』というでしょうね。
世界中の環境保護を唱える人たち同様に、彼もきっと!
そんなことがちょっと心にひっかかりながらのドライブ。
道の両側にはストーンウォールがコンクリートの壁に変わっての出現、古いものは300年前に積み上げられたものもあるそうです。
石を積み上げただけの壁、これが何処に行っても湖水地方では見られるわけですが、これが落ち着くんです。
石が来訪者に語りかけてくるんです・
『私たちは長い間ここにいて自然が壊されないように見守っているんだけど、自由に楽しんで行ってね、自然を!』って。
思わず『ありがとう!ゆっくり見させてもらうね』と答えてしまうほど。

最初に着いた町グラスミアにワーズワースが詩作にふけった家があります。
さすが、ワーズワースが落ち着いたことがある町、自然の中に自然にできた家並みの町という感じです。
ここにはかなりの観光客が入っているはずなのにナゼでしょう?
人の気配というものがあまり感じられないんですね。
バスの停留所がどこにあるかもわからない?長くストレートな道が無いからでしょうか。
答えは、道そのものがそこに住む人たちが生活しやすいが為にできた道だからなのだそうです。
無理に作り上げた道が無いということなのでしょう。
川に湖に釣りに行く為に通っていた小道が、馬車が通れる道に除々に変わっていったように。
そんな町に人が並んでいる場所があるんです。
ジンジャーブレッドのお店です。
湖水地方を歩くのに持ち歩かれた昔ながらのおやつを売っているお店です。
昔から人気があるジンジャーの効いた硬いお菓子、歩くことが好きなイギリス人にとって、保存がきいてエネルギーがある最良のおやつ。
僕も並んで買うことにしました。

なかなか前に進みません。
並んでいるお客と何気なく話し始めると、そのご婦人は、なんとオーストラリアから観光に来ているというじゃありませんか!
僕がオーストラリア1周したことをいうと、目を丸くしながら『あなたは私よりオーストラリアについて詳しいですね。どこか良い場所を紹介してください。私はメルボルンの周り以外、オーストラリアを知らないのよ。何処がお勧め?』と訊くもんですから『オーストラリアは全てエキサイティングで何処を訪れても楽しいことばかりで、ゆとりの人生を送るには最高の国ですね。あなたは素晴らしい国に住んでいらっしゃいますね。』と少し社交辞令も含めて答えると、とても嬉しそうに『Thank you!それじゃもう1周してみては?』というので『そのかわりというわけじゃないんですが、あなたのお国の原点を探る為に、ここイギリスを取材しているんです』というと『私も私自身のルーツを探しに来ているのよ。お互い同じようなことをしているわけね』といいながら僕の目をじっと見つめ『あなたの仕事が良い形になることを祈ります。そして素晴らしい旅ができますよう。』と微笑みながらジンジャーのお菓子を持って、爽やかな空気を残してお店を出て行きました。

・・・・・続く
2003.03.10

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