オーストラリア1周25,000kmの旅【西海岸パート3】

さて翌日、我等は車を点検し、大量の飲料水をドライブインで買い込んで出発。
ここでお知らせしておかなければならないことがあります。
特に、西オーストラリアを北上する時には、車の予備タンクを常に満タンにしておかなくてはなりません。

何故なら[ NEXT GAS-STATION ]の表示が300km先だったりするからです。
ですから、水も一人当り約20リットルくらい確保しておかなければ危険なのです。
そうそう、予備タンクの容量も60リットルくらいあるんです。
日本の小型車の容量くらいあります。
これには僕もビックリ、さすが大きな国オーストラリア!
でも命に関わることですから、車の点検とガソリン&水の補充は毎日のお決まりとなりました。
さァー、1日でどのくらい走れるか皆目見当がつきませんが、いざ出発!
何せ撮影しながらの移動でありますから・・・。

パースを発って3日目、距離にして250km、荒野の墓標といわれるピナクルズへ。
25,000年前の石灰岩の断層が風や水で削られ、いろいろな形が彫刻のように乱立していて、まるで『彫刻の森』にいるような錯覚に陥ります。
人間の指や横顔、あるいは動物の形をした物、人間の想像では作り得ない造形物が点在しています。
懸念すべきことは、人が自由に入れるので、破壊される可能性が無きにしも非ず、自然が一番恐れるのは、自然の摂理を乱す人間そのものではないでしょうか?
自然の作る造形美は意外性のある芸術を長年にわたって変化させていきます。長い目で見ていきたいものです。
そしてそこから走ること150km、パースから400km、ロブスター漁の集積地ジェラルトンに向かいました。

この港町は、西オーストラリアのロックロブスターを集める最大の加工施設を持ち、年間2700tを発送しているそうです。
その40%が日本に送られているそうです。
捕獲方法としては、金網でできた籠に餌を入れ、海に沈めておき数日後に引き上げます。
網にはかなりのロブスターが入っていますが、大きさが測りに満たないものはもう一度海に戻します。
こうして自分達の漁場を守っているんだそうです。
ちなみに、籠の権利は高くてなかなか手に入らないそうです。
それに株の数も決まっていて、もし買うとしたら、オーストラリア$で100万ドル以上するんだそうです。
でも、キロ当たりの価格は1,800円以上。
ロブスター御殿を持つ人もかなりいるとか・・・。
そうそう、捕りたてのロブスターに醤油と山葵をつけて食べた味は、今までで最高の味でした。

パースを出て5日目、700km地点にあるシャークベイを目指しました。
国道1号線を走っているとテリーが急に車を止め、音を立てないように前の方に歩いて行くではありませんか。
僕も訳もわからずついて行くと、テリーが黒い塊を手でつかみ、僕の方に差し出してきたので慌ててテリーから離れ距離をおいてその物体を見ると、な、なんと十数年前日本でも脚光を浴びたエリマキトカゲでした。
グロテスクでありながらなんとも愛嬌があり、ヘビほどの拒絶感は無いのですが、テリーがいうように『カワイイ』なんては決して思いません。
よくこんなものを触れるなというのが本音といったところでした。
それにしても、100キロ以上のスピードで運転しながら数百メートル先の動物を見つけるテリーの視力には、ほとほと感心させられました。
さすがスーパーガイド!!

シャークベイにあるモンキーマイヤーに朝9時頃到着した我々は、何か不思議な静寂を感じました。
海岸に座って海を見つめている人たちが、何かを静かに待っているのでした。
お互い会話を交わすわけでもなく。
その静けさには、なんともいいようの無い心地よさがありました。
何を待っているのかと尋ねると、イルカを待っているんだという返事。

そう、ここモンキーマイヤーはイルカの餌付けで有名なんだそうです。
40年前、漁師が湾の中に来るイルカに餌を投げたのがきっかけとか。
それ以来、頭の良いイルカは時間になると訪れるとか。
でも、レンジャーさん達は、与える量や時間は厳しく守っています。
何故なら、それをルーズにすると自分で餌を捕る力が無くなり、自然界で生きていけなくなってしまうからだそうです。
砂浜にあるテラスでコーヒーを飲みながら待つこと30分、『こんな環境で飲むコーヒーの素晴らしさ』、沖の方から3、4頭のイルカの到来です。
だんだん砂浜に近づいてくる様子、そして餌付けの様子を見ているだけで気持ちがゆったりしてきて、自分がドップリと自然の中で呼吸しているんだと感じさせてくれます。
これこそ癒しの時間といえるかもしれません。

走行距離にしてパースから700km、こんな環境を維持できるのは、人が少ないせいもありますが、自然の中で人間も生きさせてもらっているんだという謙虚さが創り上げていることは間違いないようです。
こんな素晴らしい場所に来ることができたことを神に感謝したいくらいでした。
それから付け加えると、この地区は動物に対する規制が厳しく、勝手に異種類の動物を連れてくることは禁じられているそうです。
このくらいの厳しさがないと、現代では生態系は守れないのかもしれませんね。
なんといっても、人間が一番の破壊者だから。

モンキーマイヤーから走ること30分、シェルビーチという砂浜に向かいました。
ここも静かな真っ白な海岸だと思って砂の上に足を踏み出そうとしてビックリ!
なんとそれは砂ではなく小さな白い貝殻のビーチだったんです。
ですから歩こうにも痛くてスムーズに歩けません。

信じられますか?
大きさ5、6mmの白い貝殻が一面にビッシリ、それも深さ10mにも堆積されていて、幅100kmにも及んでいるなんて!
そんな海岸ですから、海の透明度ときたら150%、そのキレイなことときたら幼児の瞳のよう。
そんな海岸、ビーチに我一人、こんな贅沢があってよいものだろうかと、一瞬笑ってしまいました。
そしてロッドスチュワートの『Sailing』を口笛してしまいました。
我自由なり!
我解放された心もち幸せなり!
この後、デナムというシェルの堆積岩を使って作った家がある街での、とても気分のいいランチタイム。

7日目、パースから1,000km地点、アリ塚が無数に点在している1号線を爆走!
走りながら考えるに、この国の自然の広大さと、その自然を利用して営むプロジェクトの大きさは、この国の人の持つ、気持ちのおおらかさにつながるのではないかと・・・。

・・・・・続く
2002.04.04

『福島幸枝』、『G’ day! Australia』、『パースで1年』各様、補足資料として画像使わせていただきました。ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA