旅のすすめ

旅のすすめ

シニア旅行=ロマンス、シニア旅行=高額消費旅行、シニア旅行=知的好奇心をそそる旅・・・・・。
今、シニアに向けたさまざまな旅の提案を耳にするが、僕がリタイヤした男性にお勧めしたいのは、男友達とする旅だ。

何も、シニア=夫婦と決めつける必要はないと思う。
60歳になったら、旅は男友達と。
数人の気心の知れた男友達と、行き当たりばったりの旅をしよう!
往復チケットを手に入れたら、あとは行動するのみ。
空港に着いた。
さあ、どこに行く?どこに泊まる?何をする?
そんな行き当たりばったりの旅では、旧友本来の性格さらには、観光旅行では見えてこない街の性格までもが見えてくる。

僕も昨年、男友達と3人で西オーストラリアを旅した。
パースからシャークベイまで、ただひたすら何もない850kmの道をワンボックスカーで進む。
食事を摂る場所だって決めてない、いや、いつ食事にありつけるかすら分からない。
おまけに窓越しに見える風景は、いつまでたっても違う顔を見せてくれない。
男同士、道中会話が盛り上がって!となるはずもなく、どうしようかと気をもんだ時もあった。
ところが、シャークベイに到着したその一瞬、自然が織り成す造形美に圧倒され、一同息をのむ。
『やっぱりいいよね、旅は!』
そんなものなのだ。
気をもむ必要なんでなかったのだ。
車窓からの変わらない自然景観に、三者三様の思いを馳せていたのだ。
2人からは今年もまたぜひ行きたいとせがまれている。
今度はノーザンテリトリーに行きたいのだとか・・・・。
大丈夫だろうか?
いやいや、きっと楽しいに違いない。
“NOPLAN”!男同士の旅はこれにつきる。

旅はどこに行ったかではなく、どんなことをしたかが大切な思い出になる。
だからこそ、だれかが用意した旅や、だれかに決められた旅では、本当の旅を堪能できるはずがない。
贅沢をいえば、期限も形も決めない自由気ままな旅がいい。枠にはまらない旅は、人の心に余裕を生む。とはいえ日本の社会では、長期休暇はなかなか取れないだろう。だからこそ、限られた時間内で自分のテンポに合った旅を形作るといいと思う。

そんななか、無期限であてもなく方々を旅したり、行き当たりばったりの旅ができる環境にあるのは・・・・学生?
実はシニアなのだ。
それこそ時間にもお金にも余裕がある。
さらにインターネットがこれだけ発達した今、自分で自己の旅を演出することはそう難しいことではない。
本当に余裕のある旅への準備ができるシニアだからこそ、若者以上の冒険心を持ったNOPLANの旅ができるはずだ。

旅にテーマを設定するのもいい。
僕が以前実践したのは『ナポレオンの旅』。
ナポレオンには未だ定説がなく、毎年50冊ほど新刊が出るほどで、情報源には事欠かない。
彼の足跡を辿りながら、ヨーロッパをさまよった。
だれでもいいと思う、ゴッホでもロートレックでもいい。
何ヶ月も前からプランを練るために文献を読み、地図とにらめっこしながら準備を進める。
気が付けば、何よりも素晴らしい自分だけの商品が出来上がる。
あとは行動するのみだ。
そう、旅に必要なのは『冒険心』。

旅本来の面白さに触れたシニアはきっと、また旅に出たくなる。
もっと消費者の自主性を大切にした旅行商品が出てくることを願って、僕の話を終わりにしたいと思う。

柴俊夫
WEEKLY TRAVEL JOURNAL(株式会社トラベルジャーナル社) 2006.4.10号6Pに掲載(原文まま)

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